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わたしとHANNAHマクラメ教室

マクラメは紐を手で結んで模様を作っていく手芸です。結びの手芸は古来から日本にも海外にも見られ、現在ではそれらの装飾的に結ぶ手芸全般をマクラメと呼んでいます。日本でもお守りの紐の結びや水引など、装飾と実用を兼ねた結びが身近にあります。運命の赤い糸、縁結び、命綱などの結びに関する言葉もいろいろあります。それらを眺めていると結びというのはただの実用にとどまらず、神聖なもの・どこか不思議な力を感じさせるものとして扱われ、受け継がれているのではないかと思えてきます。

  

実際、紐を持って一心に手を動かしているとその手元に意識が集中し、瞑想をしているかのように他のことを考えなくなっていることに気づきます。あれこれと思考がさまよい気持ちが疲れた日の終わりに黙々とマクラメの作品を作っていると、いつの間にか気分がスッキリ、晴れやか。そんなことを何度も経験し、わたし自身がマクラメに助けられてきました。そのような効果があるのもマクラメ(結び)の持つ不思議さなのではないでしょうか。

 

わたしはそんな結びの持つ力を身近に感じていただきたいと思い、小さなマクラメの教室を開きました。

 

気軽に身に着けられるアクセサリーを作りながら、心を「今・この時」に結びつける。

マクラメの技術をお伝えするだけでなく、マクラメを通して癒される。

私はそんな教室を目指したかったのです。

 

マクラメ教室として、先生として、生徒様の前に居るからには「とにかく上手になるように」導くのがわたしのあるべき姿かもしれません。

 

でもわたしは「上手なる」ことだけを目的にしたくはない、というのが本音なんです。わたしがマクラメを通して生徒様に感じていただきたいのは、『他人のことも自分のことも忘れて手元に意識を集中する』ことだからです。

 

プロになりたい、将来マクラメの先生になりたい、作家になりたい、という方ももちろんいらっしゃるし、そういう生徒様も大歓迎です。そういう方にはわたしの知ることすべてを総動員して、単に「できあがればいい」ではなく「美しく形よく」結べるようお伝えします。

 

ですが、矛盾しているようですが、誤解を恐れずに言うともっと深いところでは「うまくならなくてもいい」と思っています。もしもあまり上手に結べなくても、マクラメに深く集中することで日常のモヤモヤを忘れてスッキリ、そして心の底から満足して喜びを感じてもらいたい。

そうしたらきっと結ぶ前よりちょっと幸せになっていることでしょう。それが私が生徒様に心から願っていることなのです。

 

だって、自分が幸せでなければ、家族であれ、友だちであれ、自分以外の人を幸せにできるでしょうか。

 

プロとして先生や作家になるにせよ、純粋にマクラメを趣味として楽しむにせよ、自分が満ち足りていて幸せだということが、何よりも大切ではないでしょうか。自分が幸せであればこそ、他人の幸せも考えられるようになると思うのです。

 

必要なのは、自分が幸せになる、という決意。そして初めの一歩を踏み出す勇気。

 

うちの子どもの自転車はなつかしのダイナモライトが付いていて、こぎ始めないと明かりがつきません。でもグイッと力を入れてこぎだせば、暗闇に明かりがともります。

新しいことに挑戦するのは勇気が要りますが、初めの一歩を踏み出せば新たな世界が見えてくるのですね。