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黙々タイム

生徒さんは、初めは台風のことなど近況報告で雑談をしながら作業し始めるのですが、次第に口数が減って、私が時々結び方を教える声以外は誰も話さないもくもく(黙々)タイムに突入します。

この時間は私もできるだけ邪魔をしないようにしています。

なぜなら、おそらく手元にググッと集中している時だから。

他人のことだけでなく、自分のことすら忘れて、意識のほとんどすべてが手元に向いているようなフロー状態だから(フロー状態についてはこちら)。

 

たまにどなたかが「先生…」と私に呼び掛けて質問したりすると、皆さんハッとしたように顔を上げて我に返ってまた雑談が始まったりするのですが、そのうちまた黙々タイムに突入して、それを繰り返しているうちに誰かが声を出しても集中が途切れず顔も上げなくなったりします。

 

以前、レッスンが終わった時に「頭が温まった~」と仰った生徒さんがいらっしゃいました。

手を動かすことは脳を活性化するだけでなく、脳に働きかける=心に働きかける、つまり精神衛生的にも良い効果があると、わたしは思うのです。

脳科学者の久保田競先生のご著書を抜粋すると『単純作業をくりかえすことで、要素的運動パターンの学習が維持されるだけでなく、単純なくりかえしが一定のリズムで神経系を賦活するから、精神の安定が保たれるのである』(『手と脳』久保田競・著 紀伊國屋書店)ということ。マクラメを通して満足感を味わい、穏やかな良い気持ちになれるのではないでしょうか。