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アンケートから分かるマクラメの効果*チャレンジ

昨年、生徒様にご協力いただいたアンケートには、次のような設問がありました。(他の設問のお答えについてはこちらのブログもご参照ください。)

 

Q:マクラメをするようになる前と今を比べて、何かご自分に変化がありましたか?

 

すごく答えづらそうな質問ですよね。アンケートを作りながら、この欄はどんな回答が頂けるんだろうと、とても楽しみな項目でした。

 

すると…

・自分がやろうと思えば出来る!と作品を作る事を通して以前より身軽に動けるようになりました!(H様)

・いろんなことにチャレンジしたい気持ちが大きくなりました(KK様)

・ひとつ完成するととてもうれしくて、次は何に挑戦してみようかな、と意欲がわくようになった(KM様)

などのお答えが!

 

このことはわたし自身もマクラメを始めてから感じていることなんです。

ひとつひとつの小さな成功体験(作品を完成させるということ)の積み重ねが、次の創作への意欲につながります。それは想像のつく範囲内のことかもしれませんが、注目したいのはH様がおっしゃっているような「以前より身軽になった」という点。

これは、マクラメの制作過程において、フロー(時間を忘れるほど没頭している楽しい時間)になり、「制作そのもの以外の目的や外的報酬(収入や褒賞などを得ること)を必要としない状態」=「内発的報酬(楽しさ、夢中、充実感など)のみに動機づけられた状態」になっていて、そのために自己目的的パーソナリティー(社会的評価や将来の利益といった外発的な報酬とは無関係に、行為そのものに喜びや楽しさを見いだしやすい性格特性のこと)が強化されたと言えるのではないか、ということなんです。

 

つまり、

 

*結果はどうあれ、マクラメを作る過程そのものが楽しい!

*次は何を作ろうか。色々チャレンジしたくなる!

*マクラメ以外のことでもチャレンジしてみてもいいかも。だって結果はどうあれ、取り組むこと自体が面白いってことはあり得るしね。

 

というようなとっても前向きなスパイラルが起きている、しかも作品を作れば作るほど(達成感を積み重ねていくほど)強化されていく、という仮説が立てられるのではないか、ということなんです。

私自身のことですと、私は深刻な人見知りで、全く社交的ではなかったのですが、マクラメを始めてからいつの間にか夫に「なんだか変わったね。朗らかになったね」と言われるようになり、そのことも自信になって、PTAの役員を務めたりマクラメ教室を開講するということにつながっていったわけなんです。

 

もちろん、結果(マクラメの作品が完成すること)が重要ではないということではありませんし、誰にでも上記のような変化が起きるということではありません。それに、フローを起こすものは人によってそれぞれで、マクラメだけに限ったことではありません。

でもマクラメには、人を、気軽にチャレンジできるような人に変化させる可能性がある、と思うとマクラメという手芸の持つ奥深さに思わず「へえ~!!」と感嘆してしまいます。

 

だって、いろんなことに気軽にチャレンジできる生き方って、すごく前向き!その先にはきっと新しい発見や出会いがありそうで、ユニークな人生になりそうです。そう思いませんか?

 

参考文献:『フロー体験ー喜びの現象学』M.チクセントミハイ著、『フロー理論の展開』今村浩明・浅川希洋志編(敬称略)